企業型DC(企業型確定拠出年金)の導入を検討する際、多くの経営者・人事担当者がまず気になるのが「実際にどれくらいの費用がかかるのか」という点です。本記事では、企業型DC導入にかかる費用の内訳や相場のイメージ、費用以上に得られるメリット、そして中小企業が失敗しない進め方について解説します。

企業型DC(企業型確定拠出年金)とは

企業型DCとは、企業が毎月一定額の掛金を拠出し、従業員自身がその資金を運用する企業年金制度の一つです。運用の成果によって将来受け取る金額が変動する点が特徴で、「日本版401k」とも呼ばれています。掛金の一部を従業員が給与の中から選択して拠出できる「選択制DC」という仕組みを採用する企業も増えており、企業側の新たな費用負担を抑えながら導入できる点が中小企業にも支持されている理由の一つです。

企業型DC導入にかかる費用の内訳

企業型DCの導入費用は、主に「初期費用」「運営管理費用」「資産管理費用」の3つに分けて考えると分かりやすくなります。

初期費用(導入時にかかる費用)

導入時には、地方厚生局への申請書類の作成・提出にかかる費用や、資産管理契約を結ぶための契約手数料などが発生します。事業所単位でかかる費用と、加入者(従業員)1人あたりでかかる口座開設費用があり、従業員数が多いほど初期費用も増える傾向があります。

運営管理費用(月額の目安)

導入後は、制度の運営を担う運営管理機関に対して、月額の運営管理費用が発生します。従業員の加入・脱退の管理や運用商品の選定支援、投資教育のサポートなどが含まれるのが一般的です。

資産管理費用(月額の目安)

拠出された掛金を管理する資産管理機関に対しても、月額の管理費用がかかります。金融機関や契約形態(単独型か総合型か)によって費用は異なります。

費用の相場イメージ(企業規模別)

費用は事業所の規模や選ぶ運営管理機関・資産管理機関、加入者数によって大きく変動します。1名から導入できるプランを用意している専門機関もあり、小規模企業や一人社長の会社でも、コストを抑えたプラン設計によって無理なく導入できるケースが増えています。正確な金額は企業ごとの状況で異なるため、具体的な見積もりは専門家への相談を通じて確認することをおすすめします。

費用がかかっても企業型DCを導入するメリット

導入費用や月々のコストが発生する一方で、企業型DCには費用負担を上回る効果が期待できる点も見逃せません。

税負担の軽減(掛金の全額が経費計上)

企業が拠出する掛金は、全額を損金として計上できるため、退職金を社内で引き当てて準備する場合と比べて、税負担の軽減効果が期待できます。

従業員の離職防止・人材確保につながる

企業型DCは福利厚生制度の一つとして従業員に評価されやすく、将来の資産形成を後押しする制度があることで、従業員の安心感やエンゲージメント向上につながる可能性があります。結果として、離職防止や人材の定着、採用力の強化にもつながることが期待できます。

中小企業でも無理なく導入できる制度設計が可能

選択制DCのように、従業員が給与の一部を掛金にするか現金で受け取るかを選べる仕組みを採用すれば、企業側の新たな費用負担を抑えながら導入することが可能です。

企業型DC導入を中小企業が検討すべき理由

これまで企業型DCは大企業を中心に導入されてきましたが、近年は制度設計の柔軟性が高まったことで、中小企業や従業員数の少ない会社でも導入しやすくなっています。特に、退職金制度が整っていない中小企業にとっては、企業型DCが福利厚生の充実と採用競争力の強化を同時に図れる手段として注目されています。

企業型DC導入は社労士に相談すべき理由

企業型DCの導入には、制度設計だけでなく、就業規則や賃金規程との整合性確認、社会保険・労務手続きとの関連整理など、人事労務全般にわたる知識が必要になります。人事労務の専門家である社労士が関わることで、制度設計から申請手続き、導入後の運用サポートまでを一貫して相談できる点は、企業担当者にとって大きな安心材料となります。

企業型DC導入までの流れとスケジュール

一般的に、企業型DCの導入検討から実際の制度開始までは、数ヶ月程度の準備期間を見込む必要があります。主な流れは、無料相談・ヒアリング → 制度設計の確認 → 必要書類の準備・地方厚生局への申請 → 従業員向け説明会・投資教育 → 制度開始、というステップです。専門機関に相談することで、スケジュールの見通しを立てやすくなります。

まとめ:費用を抑えて企業型DCを導入するなら専門家への相談を

企業型DCの導入には初期費用や月々の運営費用がかかりますが、税負担の軽減や従業員の離職防止といったメリットも期待できる制度です。費用の内訳や相場を正しく理解し、自社に合ったプランを選ぶことが、導入を成功させる第一歩となります。まずは専門家に無料相談し、自社にとって最適な企業型DCの導入プランを確認してみてはいかがでしょうか。

投稿者



及川 進

/

MCLグループCEO

神奈川県出身。医療福祉現場の経験から組織運営の重要性を痛感し社労士として独立。自らも赤字の介護事業を継承し、仕組み改革で黒字化をさせました。

現在はMCLグループ代表として、確定拠出年金や採用支援を通じ中小企業を支援しています。
これまでの実体験や知識が、少しでも皆様の経営の力になれば幸いです。